
テレビアンテナはどう選ぶ?設置場所や目的別選び方のポイント
新しい家にお引越しする際や、新たにテレビを購入する際に考えなくてはならないのが、テレビアンテナの設置・交換です。
しかし、テレビアンテナにはたくさんの種類があり、どのテレビアンテナを選べばいいか迷われる方も多いのではないでしょうか。
本記事は、テレビアンテナを目的・設置場所から選ぶ方法について詳しく解説していきます。テレビアンテナの購入や交換を検討されている方は、ぜひご一読ください。
目次
コストを考えるとテレビを視聴する場合にはテレビアンテナを設置した方がいい
テレビを視聴するためには、必ずしもアンテナは必要ではありません。
光回線やケーブルテレビなどのテレビサービスに契約することで、アンテナを設置しなくてもテレビを視聴できるからです。
しかし、中長期的なコストを考えると、テレビアンテナでの視聴がおすすめです。
テレビアンテナを使ってテレビを視聴する場合、設置費用はかかりますが、光回線やケーブルテレビなどの契約が不要で、維持費を抑えられます。
光回線やケーブルテレビなどでテレビを視聴する場合だと、初期費用は安く済むことが多いですが、毎月利用料金を払う必要があります。
そのため、コストを考えると、維持費のかからないテレビアンテナでの視聴がおすすめなのです。
テレビアンテナの種類は大きく4つに分けられる
テレビアンテナは、次の4つに分けられます。
・八木式アンテナ(UHFアンテナ)
・デザインアンテナ
・BS/CSアンテナ
・4K・8K対応アンテナ
このほかにも様々なタイプのテレビアンテナがありますが、ここでは一般的に使われる4種類を詳しく紹介します。
八木式アンテナ(UHFアンテナ)
八木式アンテナは、昔からよく利用されているアンテナで、魚の骨のような形をしています。
屋根上などの屋外に設置するのが一般的ですが、屋根裏などの屋内に設置する場合もあります。
八木式アンテナは、
・素子・・・受け取る電波を調節する
・アンテナマスト・・・支柱の役割を担う
・屋根馬・・・素子やアンテナマストを支える
この3つの部分から成り立っています。
素子数(電波の受信能力)によって大きさや形状が変わります。電波の受信能力が高いことや価格が安いこと、設置場所の選択肢が多いことなどのメリットから、現在最も多く流通しています。
一方、サイズが大きく見栄えがあまりいいとは言えないため、建物の外観を気にする方からは避けられる傾向があります。
また、固定用の器具が多くDIYに不向きな点や、強風や鳥によって破損する可能性がある点がデメリットとしてあげられます。
デザインアンテナ
デザインアンテナは、近年人気が上昇している箱型のアンテナです。
カラーバリエーションが豊富で、見た目もよく外観になじみやすいことから、近年の新築物件で採用されることが増えています。また、片手で持ち運べるほど軽く、コンパクトな点も魅力です。
設置場所は家の外壁が一般的ですが、専用の金具を使えばベランダにも設置できます。
スタイリッシュさが魅力のデザインアンテナですが、八木式アンテナよりも電波の受信能力が劣り、設置場所が限られているため、すべての物件で使えるわけではありません。
BS/CSアンテナ
BS/CSアンテナは、「パラボラアンテナ」とも呼ばれており、お皿のような形をしています。金具を用いて建物の外壁やベランダの手すりに設置します。
BS/CSアンテナは設置する方角が非常に重要で、BSやCSの衛星がある南南西の方角にアンテナを設置します。
方角を正しく調整しなければ、電波をうまく受信できず、安定した視聴ができません。自宅でBS/CSの電波を受信できるか不安な場合には、専門業者に相談してみることをおすすめします。
4K・8K対応アンテナ
4K・8K放送を視聴するのに必要なのが、4K・8K対応アンテナです。
4K・8K対応アンテナは、従来のBS/CSアンテナと見た目が似ていますが、受信する電波の周波数帯域が異なるので別物です。
また、4K・8K放送を視聴するには、4K・8Kアンテナに加え、4K・8Kに対応したテレビ本体やチューナーが必要です。
目的によってテレビアンテナを選ぶ場合
ここからは、目的別にテレビアンテナの選び方について紹介していきます。
地デジ放送を視聴する場合
地デジ放送を視聴するのが目的であれば、八木式アンテナ(UHFアンテナ)もしくはデザインアンテナを選ぶのが一般的です。
どちらも地デジ放送の電波を受信することができるため、外観の好みや予算に合わせて選ぶことになります。
新築物件などで建物の外観を気にされる方にはデザインアンテナがおすすめです。外観にこだわらないのであれば、電波の受信能力が高い八木式アンテナがおすすめです。
BS/CS放送を視聴する場合
BS/CS放送を視聴したい場合は、地デジ用のアンテナに加えてBS/CSアンテナを設置します。
BS/CSアンテナは、地デジ用のアンテナとセットで設置するほか、単独でベランダに後付けすることもできます。
BS放送であればNHKの受信料、CS放送であればスカパーなどの受信契約(有料)が必要となりますので、見たい番組によってどのアンテナにするかを決める必要があります。
4K・8K放送を視聴する場合
4K・8K放送の視聴が目的なら、4K・8K対応アンテナを選ぶ必要があります。
現在出回っているBS/CSアンテナの多くは4K・8Kに対応していますが、テレビアンテナを購入する際には4K・8K対応のものか今一度確認するようにしましょう。
ちなみに4K・8K放送を視聴するには、4K・8K対応アンテナだけでなく周辺機器も4K・8K対応のものに揃える必要があるのでご注意ください。
設置場所でテレビアンテナを選ぶ場合
ここからは、設置場所ごとのテレビアンテナの選び方について紹介していきます。
屋根上にテレビアンテナを設置する
屋根上にテレビアンテナを設置する場合、地デジ放送であれば八木式アンテナがおすすめです。
費用が比較的安価であり、電波の受信能力も高いため、最も使いやすいアンテナといえるでしょう。
また、屋根上であればBS/CSアンテナや4K・8K対応アンテナも取り付けることができますので、衛星放送も視聴可能です。
屋根上は近隣の建物など電波を障害するものの影響が少なく、またアンテナの角度を360度調整できる利点から、設置場所として多く選ばれています。
ただし、屋根上にアンテナを取り付ける場合は、建物の外観が悪くなることが考えられますので、外観が気になる方はご注意ください。
ベランダにテレビアンテナを設置する
ベランダにテレビアンテナを設置する場合、地デジ放送であれば八木式アンテナ、デザインアンテナどちらを選んでも問題ありません。
予算や電波状況に合わせて好みのものを選びましょう。
また、BS/CSアンテナや4K・8K対応アンテナも設置できますが、ベランダの向きに注意が必要です。
地デジアンテナは電波塔の方角に、BS/CSアンテナや4K・8K対応アンテナは衛星がある南南西に向けて設置すると最も安定して受信ができます。
テレビアンテナをベランダに設置する場合は一定の角度にしか調整できないため、建物によっては電波状況が悪い可能性も考えられます。その場合は設置場所を変更しましょう。
外壁にテレビアンテナを設置する
外壁にテレビアンテナを設置する場合、デザインアンテナを選ぶことができます。
デザインアンテナは、建物の外観になじみやすく、付属の取付金具のみで取り付けが可能で、八木式アンテナに比べて雨風に強いのがメリットです。
ただし、八木式アンテナより電波の受信能力が低いため、電波の弱い地域では設置ができないケースがあります。電波状況については、専門業者に電波の測定を依頼するのがおすすめです。
電波状況がよくない場合、電波を増幅するブースターの導入や、八木式アンテナへの切り替えも検討する必要があります。
室内にテレビアンテナを設置する
室内にテレビアンテナを設置する場合は、室内アンテナを選びましょう。
室内アンテナは、テレビの隣などに設置し、付属のケーブルでテレビにつなぎます。
壁に貼り付けるタイプの「ペーパーアンテナ」もありますので、部屋に物をあまり置きたくない人にもおすすめです。
室内アンテナは設置が簡単で、建物の外観を損なわないため多く選ばれています。
ただし、室内アンテナは電波の受信感度が低く、設置場所によっては地デジ放送が映らないケースもあるため、建物の電波状況を確認してから設置しましょう。
また、室内ではありませんが、八木式アンテナやデザインアンテナは屋根裏に設置できます。
屋根裏に設置すれば、雨や強風などの影響を受けず、外観も損ないません。ただし、屋根の材質や電波状況によっては電波を受信できない場合があります。
テレビアンテナを選んだあとは周辺機器も選ぶ必要がある
テレビアンテナを選んだらそれで終わりではなく、周辺機器も選ぶ必要があります。
アンテナとテレビ本体を結ぶケーブルや、複数台のテレビに接続する場合に使う「分配器」なども必要です。
テレビの台数やアンテナからテレビまでの距離、視聴する番組によって必要な機器が異なるため、ケーブルや周辺機器選びは事前の計画が重要です。
アンテナケーブル(同軸ケーブル)
アンテナケーブル(同軸ケーブル)は、アンテナとテレビ本体をつなぐのに必要な部品です。
最近は無線で映像を送れるテレビも増えてきましたが、まだまだ有線での接続方法が主流となっています。
アンテナケーブルは太さによって2C、4C、5Cといった種類に分けられます。
数字が大きいほどケーブルが太くなり、電波は安定します。反対に数字が小さいほど細くなり、曲げやすく配線が容易になります。
屋外にアンテナを設置するのであれば、太くて丈夫な5Cケーブルがおすすめです。
また、4K・8K放送を視聴する時は、4K・8K対応のアンテナケーブルが必要です。
屋外にアンテナを設置する場合は、ケーブルの先端が雨で浸水することが考えられますので、別売のケーブル用防水キャップを使用しましょう。
ブースター/アッテネーター
ブースターは、アンテナが受信する電波を増幅する装置のことで、アンテナが受信する電波が弱い場合に使用します。
ただし、アンテナが受信する電波が強すぎると、テレビにノイズが発生することもあります。その場合にアッテネーターを使用して電波を調節します。
アッテネーターは、アンテナが受信する電波を弱める装置で、ブースターとは逆の働きをします。電波を弱める「抵抗」が内蔵されており、スイッチで簡単に抵抗値を変えられます。
アンテナ本体の近くに取り付ける「増幅部」と、屋根裏などの見えない場所に設置する「電源部」の2つに分かれており、増幅部のつまみやスイッチで、電波の量を調節できます。
分波器/分配器/分岐器
分波器は、アンテナが受信した電波を地上波とBS/CSに分ける機器です。
テレビの裏側を見ると、地デジ放送用と衛星放送用の2つのアンテナ端子があります。地デジ放送と衛星放送の2種類を視聴したい場合、1本のアンテナケーブルから2つのアンテナ端子に接続する必要があるため、分波器を用いるのです。
つまり、分波器は「BS/CS放送を視聴したい場合に使用する」と覚えておきましょう。分波器には4K・8K対応・非対応のものがあります。
分配器は、アンテナが受信した電波を2つ以上に等分するための機器です。
例えば壁面に1つのアンテナ端子があり、そこから2台のテレビを接続したい場合などに用います。アンテナが受信した電波を均等に分けるので、分けた電波が弱い場合は「ブースター」が必要になることもあります。分配器は「複数台のテレビを視聴したい場合に使用する」と覚えておきましょう。
分岐器は、アンテナが受信した電波を偏った比率で分配する機器で、部屋数の多い集合住宅などで使用されることが多いでしょう。
受信した電波を分ける点は分配器と似ていますが、分配する比率が異なります。分配器は電波を等分しますが、分岐器は「9:1」や「8:2」のように分配する比率が偏っています。
アパートでアンテナに近いテレビには1、遠いテレビには9の比率で電波を分配すると、すべてのテレビに同水準の電波を送れるようになるため、分岐器は、「広範囲に電波を送りたいときに使用する」と覚えておきましょう。分岐器にも4K・8K対応・非対応のものがあります。
アンテナ端子
アンテナ端子は部屋の壁についており、アンテナケーブルを使ってテレビと接続します。
アンテナ端子には、地デジのみの端子と、BS対応の端子があります。視聴したい放送に応じて、アンテナ入力端子にアンテナケーブルで接続しましょう。
BS/CS放送を視聴したいのにBS対応のアンテナ端子がない場合、アンテナケーブルを使ってBS/CSアンテナからテレビ背面のアンテナ入力端子に接続することも可能です。
テレビアンテナは自分で設置することもできる
テレビアンテナと周辺機器を揃えたら設置をしていきます。「自分でもアンテナを設置できるの?」と気になる方も多いと思います。
テレビアンテナは自力で設置することも可能です。ただし、屋根上に設置する場合、高所での作業になるため危険が伴います。
また、電波状況によっては、設置したのにテレビが受信できない可能性もあります。そのため、少しでも不安がある場合は専門の業者に依頼することをおすすめします。
テレビアンテナを選ぶときは専門の業者に相談するのがベスト
テレビアンテナは目的と設置場所から選ぶことができます。地上デジタル放送、BS/CS放送、4K・8K放送どの番組を視聴したいのかを踏まえてアンテナを選びましょう。
また、アンテナ周辺機器は値段の安さだけでなく、耐久性や安全性も踏まえて選びましょう。
専門の業者であれば、建物の電波状況や予算、設置イメージに応じたアンテナを提案してくれるのはもちろん、設置までしてくれます。
どのテレビアンテナが良いか自分で決められない方は、まずは専門の業者に相談するところから初めてみてはいかがでしょう。