看護師転職失敗しないための自己分析

転職

看護師の転職は珍しいことではありませんが、「転職してみたら想像と違った…」という声は少なくありません。給料や休日などの条件はもちろん大切ですが、条件だけをみて転職すると、仕事内容や人間関係のギャップに悩まされることもあります。

そんな失敗を防ぐために大切なのが「自己分析』です。
この記事では、看護師が転職前に行うべき自己分析のポイントをお伝えします。

自己分析とは、自分自身について深く理解するために、過去の経験や考え方、行動パターンなどを振り返り、自分の価値観や強み・弱み、興味や能力などを客観的に把握するプロセスのことです。
 
自己分析を行う目的は「目的を明確にすること」「キャリア選択(職場の選択)」です。目的を定めずに自己分析を行うと、終わりが見えずに自己分析をやり続けることになります。そのため目的の明確化を意識することがポイントです。

看護師の仕事は勤務先によって勤務先によって業務内容や求められるスキル、雰囲気が大きく異なります。例えば、急性期病院と療養型病院では、患者さんの関わり方も業務内容、スピードも違います。
自己分析が不十分だと、「何となく条件が良さようだから」という理由だけで転職先を選んでしまい、入職後に「こんなはずじゃなかった…」という状態になりかねません。

また、自己分析は面接対策にも有効です。面接で知りたいのはあなたが過去に何をしてきたかはもちろんですが、「その経験を通じて得た学びが今後の仕事にどう活かせるか」です。過去の経験から得た価値観や行動特性を言語化することで説得力のある自己PRにつながります。

自己分析することで適切な職場選択、面接にも有効になります。

自己分析の第一歩は、これまでの経験から自分の強みと弱みを知ることです。

強みを見つける例
・急性期病棟でのアセスメント能力
・患者や家族とのコミュニケーション能力
・複数の処置を効率よくこなせる段取り力
・プリセプター経験からの教育力     

弱みを把握する例
・急変対応に苦手意識がある
・多重課題が苦手
・長時間勤務や夜勤が体力的にきつい


ここでのポイントは、弱みを否定的に捉えるのではなく、「これから伸ばせる課題」として認識することです。例えば急変時対応が苦手なら急性期病院に挑戦しスキルを高めるという選択もありますし、逆に急変が少ない慢性期分野で自分の力を最大限に発揮するという選択もあります。

また面接の際に聞かれる目的はただ単に弱みを知りたいのではなく、弱みを克服するためにどのような行動をとっているのかを聞き出す目的があります。
人は誰でも弱みがあるものですが、大切なのはそれに気づいて克服する努力をしているかということです。

転職では、条件の優先順位を明確にすることがとても重要です。すべての条件を満たす職場はほとんどありません。だからこそ、「何を一番譲れないのか」を決める必要があります。

優先順位を決める主な項目
・給与水準(年収アップか、安定重視か)
・勤務形態(日勤のみ、夜勤あり、交代制)
・休日・休暇制度(年間休日数、土日休み、希望休の取りやすさ)
・通勤距離やアクセス
・職場の雰囲気や人間関係
・教育、研修体制
・診療科や看護分野の専門性


例えば、子育て中の看護師であれば、「日勤のみ、残業なし」を第一条件にする人も多いでしょう。逆に、キャリアアップを目指すなら「急性期経験積める」「資格取得支援がある」などスキル重視で選ぶことになります。

優先順位がはっきりしていると、効率的に職場探しができます。

自己分析の最終ステップは、「5年後・10年後にどうなっていたいか」を考えることです。今の転職が短期的な条件改善だけで終わると、数年後にまた転職を繰り返す可能性があります。

キャリアプランの例
・急性期経験を積み、認定看護師や専門看護師を目指す
・在宅医療や訪問看護で地域看護に関わる
・管理職や教育担当を目指す
・海外や離島での看護経験を積む


キャリアプランを描くと、転職の方向性がより明確になります。例えば、「将来は訪問看護をしたい」と思えば、今は急性期で幅広い疾患の知識をつけるべきかもしれません。逆に「長く働ける安定した環境」を優先するなら、慢性期病院や公務員系の病院が候補になります。

STEP①:これまでの経験を洗い出す

これまでの経験を時系列に書き出します。参加したプロジェクトなども全て洗い出しましょう。

<具体的な項目>
・どのような業務を担当してきたか
・身につけた知識、経験、スキル
・どのような役割を果たしてきたか
・どのような成功体験があるか、要因は何か
・どのような失敗体験があるか、そこから何を学んだか

STEP②:強み・弱み・やりがいの整理

自分の強み・弱み・やりがいを整理します。

<強み>
・急性期病棟でのアセスメント能力
・患者や家族とのコミュニケーション能力
・複数の処置を効率よくこなせる段取り力
・プリセプター経験からの教育力 

<弱み>
・急変対応に苦手意識がある
・多重課題が苦手
・長時間勤務や夜勤が体力的にきつい

<やりがい>
・患者さんに喜ばれること
・新しい知識やスキルが身につけられること
・チームで協力して課題を乗り越えることなど

▶︎看護師自己分析シート
https://www.kango-roo.com/career/guide/article/125/

STEP③:現在の職場環境の評価


現在の職場環境を客観的に評価することは、自分に合った職場かどうかを判断するうえで重要なステップです。以下の観点から評価していきましょう。

労働環境は?

・勤務時間(残業や交代制など)
・給与水準
・複利厚生(休暇取得しやすさ、資格取得支援制度など)
・人間関係

業務内容は?

・業務範囲
・勤務体制
・ストレス度

自分の適性は?

・職場の雰囲気に合っているか
・やりがいを感じられているか
・自身の強みを発揮できるか

これらの項目を評価しプラス点とマイナス点を評価します。そうすることで、自分に合った職場かどうかが見えてきます。

転職先を検討するうえで欠かせない作業ですね。

STEP④:理想の働き方・条件の明確化

これまでの経験、自分の強みや価値観を振り返ったうえで、最後に理想の働き方や条件を明確化します。以下の3点を意識して自分に合った職場環境を具体的にイメージしてみましょう。

❶理想の勤務形態:常勤か非常勤か。日勤のみか、年間休日数が多いかなど。
❷職場環境:教育体制が整っているか、人間関係のストレスが少ないかなど。
❸福利厚生:育休・介護休暇の有無、各種手当など。

理想の職場環境の例

・常勤(日勤のみ)
・年間休日120日以上
・プリセプター制度や教育体制が整っている
・育児休暇取得可、住宅手当あり

このように自分の理想を明確にしておくことで、応募する求人を的確に絞り込むことができます。また、理想と現実のギャップを認識し、妥協点を見極めることも重要です。

紹介したように自己分析をすることで、自分に合った職場や働き方が見えてきます。
「何となく良さようだから」という曖昧な理由でなく、根拠をもって転職先を選べるようになります。

条件だけでなく、自分の価値観や将来像に合った職場を選ぶことが、転職成功のポイントです。

この自己分析のプロセスこそが、入職後の満足感と長期的なキャリア形成につながります。
自分に合った職場をみつけられるようますは自己分析から始めてみましょう。

この記事を書いた人


りこ
社会人から30歳の時に看護師免許取得。
医療業界15年以上の経験から広い視点で看護師の働き方、転職情報などを執筆。

コメント

タイトルとURLをコピーしました